
「家庭でも、かつお節でとっただしを使って健康的な和食を作ってほしい」と話す大場満氏【拡大】
かつお節やその加工食品を製造・販売する、にんべん(東京都中央区)の日本橋本店店長。かつお節から取っただしも販売しており、来店客に飲んでもらう。
かつお節のだしは、みそ汁のほか、そばやうどんの汁、煮物などさまざまな和食に使われる。ほとんどの客にとって、みそやしょうゆの味が付いていないだしを飲むのは初めてだ。「とても香りが良くておいしいと、びっくりする」
初かつお節は春とれるカツオが材料だ。普通は縦4本に切って湯で煮る。次にナラ、クヌギ、サクラなどの薪でいぶして水分を抜き、表面にかびを付け、何日か天日で乾かす作業を繰り返す。魚の臭みが消え、和食で重要な「うまみ」による味わい深さが出る。「完成までに半年もかかる」
完成したかつお節は、かつお節削り器で薄く削って使う。店では削り節だけでなく、かつお節も売っている。上手な削り方も実演してみせる。
にんべんは、300年以上も前から日本橋でかつお節を扱ってきた。日本全国から客が訪れるほか、最近は外国人観光客も多い。そこで、店ではかつお節を使ったトマト味など洋風のスープも出している。和食ブームのいま「日本人が生み出した、かつお節のおいしさを世界中に広めたい」と意気込んでいる。
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【プロフィル】大場満
おおば・みつる 高校卒業後、1978年にんべんに入社。2006年から日本橋本店店長。57歳。静岡県出身。