【被災地へ 石油列車】日本海縦貫に電力確保の壁 JR貨物 異常時対策の苦悩 (1/3ページ)

2017.3.13 05:00

JR貨物本社の指令室。左が室長を務めた安田晴彦さん=2011年3月(ジェイアール貨物・リサーチセンター提供)
JR貨物本社の指令室。左が室長を務めた安田晴彦さん=2011年3月(ジェイアール貨物・リサーチセンター提供)【拡大】

 東京貨物ターミナル駅(品川区八潮)には多くの貨物列車が往来し、コンテナの積み下ろしを待つトレーラーが周辺の道路まで列をなす。

 「この時期になると思い出しますね」。駅長を務めるJR貨物の安田晴彦さん(48)は、東北への物流再開に奔走していた6年前を思い出す。安田さんは当時、指令室長として寸断された鉄道の物流網再建に全力で当たっていた。東日本大震災後、わずかな時間で東北に石油を運んだ取り組みは高く評価されたが、実際には退役間近の機関車やタンク貨車をかき集め、運転士も再教育するなど急場の輸送作戦だった。

 あのとき使用した古い機材の多くが、今はもうない。次の災害に万全な体制といえるのか自問することもあるという。

 2011年3月11日。東京・新宿駅近くにあるJR貨物本社ビルでは、運行状況などについて断続的に会議が開かれていた。前日に千葉県成田市で貨物列車の脱線事故があったため、乱れた運行ダイヤの回復策なども議題となっていた。

 ◆物流が完全停止

 そして午後2時46分、宮城県沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。JR貨物の本社ビルもひどい横揺れに襲われた。「経験したことのない大きな揺れが長く続き、ただごとではないと感じた」。安田さんは机の下に隠れながら緊急災害時の対応手順を頭の中で反芻(はんすう)していた。

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