記憶力の増強など脳の機能を高めるタンパク質「リーリン」を分解してしまう酵素を、名古屋市立大などの共同研究チームが特定した。リーリンの減少はアルツハイマー病や統合失調症の発症に関係するとされており、治療薬の開発が期待される。名古屋市立大の服部光治教授(分子神経科学)は「製薬会社と酵素の働きを抑える薬剤を開発中で、5年後をめどに治験をしたい」と話す。
チームによると、遺伝子改変や脳への投与でリーリンが増えたマウスは、アルツハイマー病の症状が改善することが知られている。脳にはリーリンの分解酵素があり、酵素の働きを抑えることで人間の治療につなげようと、6年かけて酵素を特定した。分解酵素が働かないマウスでは、リーリンが1.5~2倍に増え、神経細胞の活動が活発になっていた。認知症の原因の一つと考えられる異常なタウタンパク質の蓄積も抑えられた。