不正会計、チャレンジ…東芝、“膿”出し切れず 国策の原発が聖域化 甘い企業統治 (1/2ページ)

2017.3.29 19:20

会見冒頭、頭を下げて挨拶する東芝の綱川智社長=29日午後、東京都港区(川口良介撮影)
会見冒頭、頭を下げて挨拶する東芝の綱川智社長=29日午後、東京都港区(川口良介撮影)【拡大】

 経営再建中の東芝は29日、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。国策でもある原発事業が“聖域”になり、企業統治(ガバナンス)が十分に進まなかったとの指摘は根強い。平成27年に発覚した不正会計問題以降、風土・機構改革を進めてきた東芝にとって、WH破綻は最後の膿を出し切る措置となった。

 東芝の「衰退」は、インフラや半導体、パソコン事業で損失計上を先送りしていた不正会計問題が発端だ。当時の経営トップは収益改善を目的に、「チャレンジ」と称して実態にそぐわぬ目標値の達成を各部門に強いた。不正を把握し、是正すべき内部統制も機能していなかった。

 第三者委員会からの指摘を受け、東芝は経営陣を大幅に刷新。社外取締役を過半数に増やし、外部の専門家らによる経営刷新委員会を設置するなど、監視機能を強化した。一方、米原発事業について東芝は好調と説明していた。

 当時の措置を、東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは「経営の勇み足」と指摘する。WHが27年末に買収した原発建設会社について、その後の調査で建設コストの増加により、想定よりも資産価値が大幅に低いことが判明。だが、東芝本体は建設会社買収から約1年間も、巨額損失の存在を把握できなかったからだ。

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