
タウンキッチンが東京都武蔵野市に開設したシェアキッチン「8K(ハチケー)」【拡大】
複数の企業や住人が共有するシェアスペースを活用した動きが郊外地域で出ている。企業のコスト抑制と社員の職住接近がメリットで、東京西部の多摩地区では起業や介護サービスなどに利用されている。高齢化や空き家の課題を抱える地域の活性化にも期待される。
JRの東小金井駅に近い高架下のシェアオフィス「東小金井事業創造センター KO-TO(コート)」には、約50の事務所が入る。
小金井市が2014年、高齢化が進む中、事業創出や地域の活性化を目的に設置。利用者は30~40代が中心で建築、介護関連、デザイナーなど業種はさまざまだ。
コート内でシェアオフィス全体の運営と個別の創業相談に対応しているタウンキッチンの北池智一郎社長は「家族世帯は子育てや経済事情で郊外に住むことが多く、自宅の近くで仕事をしたい人が増えている」と話す。
17年3月には武蔵野市にシェアキッチン「8K(ハチケー)」を開設、調理場を曜日や時間で分けて使うことで主婦らの開業を支援する。北池社長は「一定の人口のある地区で、飲食や物販もビジネスとして成立する」と指摘する。
飲食店の開業は初期投資が負担になるが、月約3万円といった割安の施設利用料を設定。小平市の同様の施設では複数の人がパン製造などで使用している。利用者の中には独立して自宅近くに店を持つ人も出てきた。