テレビ番組を放送と同時にインターネットで配信するための環境整備について検討する総務省の有識者会議は25日、中間報告書を大筋で了承した。複数の放送局が連携して実証実験を行い、配信システムの共同利用などに関して検討することを提案。一方で、著作権処理を円滑に行うための具体策には踏み込まず、来夏の最終報告に向けて課題を残した。
中間報告では、動画コンテンツのパソコンやスマートフォンでの視聴が一般的になったことを指摘した上で、ネット配信を実施した場合の放送局のコストを試算。最低限の機能を持つ配信システムを、放送局が個別で構築・利用すると年間コストは7840万円。10局が共同で使えば各944万円に抑えられることなどを示した。
出演者などの著作権についてテレビ放送は処理が終わっていても、現状ではネット配信のために別途、許諾を得る必要がある。
有識者会議では、手間やコストの軽減策を模索したが、明記は見送った。これまでの会合では、放送局や著作権の管理者との間で意見の違いが際立ち、利害調整の難しさが浮き彫りにされた。
ネット同時配信をめぐっては、法改正を前提にNHKが2019年に始めたい考えを示している。
民放は現行法でも参入できるが、地方局を中心に費用負担の大きさなどから慎重姿勢。民放連の木村信哉専務理事は25日の会合で、「同時配信には技術やコストなど、解決すべき課題が多い。この(有識者会議での)検討が、各社の実施時期や経営判断に制約を与えるものではない」と議論を牽制(けんせい)した。