□経済産業省消費者政策研究官・谷みどり
経済の発展には良いことが多いが、困ったこともある。その一つは、わかりにくい契約の出現だ。うまく対処しないと社会が損なわれる危険がある。昔、現金で給料をもらった頃、家計管理は比較的簡単だった。給料袋から家賃などを別の封筒に移し、その他を財布に入れて使った。お金が足りなければ給料日まで我慢するかあきらめた。
今、給料は銀行振り込みになり、支払いの多くは現金ではない。口座引き落としなど見えないところで、意識しないときに決済される。クレジットを使うと、いつまでにいくら払う必要があるのか、わからないことが多い。
6年で100万人増加
そのせいだろうか。クレジットを使って何か買った後に、支払いが滞る人が増えている。返済日から61日以上または3カ月以上支払いが遅れると、そのことが割賦販売法に基づく指定信用情報機関に登録される。個別クレジットの支払いが滞って信用情報機関のシー・アイ・シー(CIC)に登録されたのは、2017年4月、243万人だった。これは宮城県の人口を上回る。11年2月の142万人から6年2カ月で100万人以上増えた。