
ねじ製造の機械がずらりと並ぶ浅井製作所の工場=埼玉県草加市【拡大】
「下町ロケット」をはじめ、小説やドラマで中心的に取り上げられるようになった町工場。世界に誇る日本のものづくりの現場を直接、見学できる工場も少なくない。子供たちの自由研究のテーマや修学旅行の見学先として公開している工場もあるほか、自治体の中には貴重な観光資源として活用する動きも出始めている。
ねじ製造機ずらり
東京都心から電車で約40分の埼玉県草加市。草加せんべいでなじみ深いこの街の地場産業がねじ製造。市内には十数カ所のねじ工場が存在する。その一つ、浅井製作所は2011年から一般見学者を無料で受け入れている。
「ものづくり」と聞いてねじを連想する人も多いが、「その作り方を知っている人はほとんどいない。だったらねじのことをもっと知ってもらおうと考えた」(浅井英夫社長)のがきっかけだ。
工場内には数十年にわたって動き続けるねじ製造機が並ぶ。線材を数ミリ~数センチの長さに切断し、「ヘッダー」と呼ばれる装置でねじの頭部を成形する。最後に転造機でギザギザの溝を付ける。数万種類を扱い、1本からでも注文に応じる。中には同社でしか作れないねじもあるという。
工場見学を受け入れたからといって、すぐ売り上げに直結するわけではないが、「注文を電子メールで受けたとき、発注者が過去に見学に来た会社の技術者だった」こともあったという。夏休みを前に、親子での見学の申し込みがすでに入っている。