
高効率の濃縮・乾燥システム「V-CyCle」【拡大】
鹿島は、廃棄物最終処分場で発生する廃水から異物を除去する濃縮・乾燥工程において、低燃費かつ二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減した新システム「V-CyCle(ヴイシュクル)」を開発した。廃水の加熱時に発生した蒸気を再利用するなどの省エネ技術を採用した。
廃棄物最終処分場では、雨水や散水が廃棄物を通過した後の廃水について、濃縮・乾燥して有害物質や塩分などを分離・除去した上、場外に排出、または場内で再利用している。濃縮・乾燥工程では膨大な燃料が消費され、コストやCO2排出量の削減が課題だった。
新システムでは、廃水の加熱過程で生じた蒸気を圧縮機で高圧・高温化し、加熱用に再利用する「ヒートポンプ方式」を採用した。
また、2つの加熱器が濃縮、析出、乾燥の工程ごとに最適に切り替わり、効率的な加熱を実現した。鹿島の実証試験では、新システムは、従来と比べて濃縮・乾燥工程を約1.5倍に高速化したほか、燃料消費量の削減は約3分の1、CO2排出量の削減は約2分の1になった。
新システムは、廃棄物最終処分場だけでなく、下水処理場、食品、金属加工、半導体工場における廃液・廃水処理にも応用できる。鹿島は今後、こうした産業の水処理を伴う施設に積極的に提案していく。