
行き先を指定できない代わりに通常の半分のマイレージで特典航空券を手にできる「どこかにマイル」。家族でわくわく感を共有できる【拡大】
■行き先「おまかせ」のわくわく旅
人が旅行に行こうとするとき、目的地はどの時点で決まるのだろうか。最初から決まっている場合も多いが、「何か面白い場所はないのか」と“新天地”を模索する人もいるのではないか-。
航空機の搭乗などでたまる航空会社のポイント「マイレージ」の交換商品として、日本航空と野村総合研究所が開発したサービスは、通常の半分以下のポイント(6000マイル)で航空券を取得できる代わりに、行き先はネットに表示された4候補地から決まる。航空業界の常識を覆した異色のサービス誕生は「そもそも論」への立ち返りから始まった。
ITで革新的サービス
「お前に任せたい案件があるが忙しいか?」。2014年6月ごろ、日航のマイレージ事業部で電話を取った馬場宗吾アシスタントマネジャーの耳に、聞き慣れた上司の声が飛び込んだ。野村総研とマイレージを活用した新サービスの研究会を立ち上げたから、担当者として出席してほしいという。
もともと、この研究会はIT(情報技術)を使った革新的サービスを目指して結成された。当時、日航のマイレージ会員は約3000万人、マイレージがたまるクレジットカード「JALカード」の会員数も300万人に拡大しており、新たな需要創出ができれば大きな効果が見込めた。