□日本エネルギー経済研究所常務理事・小山堅さん
■日本のリスクは変わらない
--過激派組織「イスラム国(IS)」による混乱やシリア内戦など、ここ数年の中東情勢はかつてないような不安定な状態にあるにもかかわらず、原油の国際価格は1バレル50ドル以下の低い水準で推移しています。どうしてですか
「今の国際石油市場は在庫が歴史的に高い水準に積み上がるなど、供給過剰の真っただ中にあるからです。その原因はシェール革命による米国のシェールオイルの増産です。2014年まで1バレル100ドル前後の高値をつけていた原油価格を背景に、掘削コストの高いシェールオイルが増産に拍車をかけたため、サウジアラビアを中心とするOPEC(石油輸出国機構)は当初、原油価格が下がればコスト高のシェール生産は減ると考え、減産せずに価格下落を黙認。しかし、シェールは生産の効率化や合理化でコスト競争力を強め、持ちこたえました。このため、OPECとロシアなど非OPEC産油国は16年11月から協調減産に踏み切り、この5月には減産延長を決めました。それでも市場は今の減産規模では不十分とみており、原油価格は1バレル40ドル台半ばで推移。シェール問題がある限り、原油価格は短期的には大幅に反騰しにくい状況にあります」