
個別席が導入された焼き肉店で食事する男性=6月、福岡市博多区【拡大】
お一人様、いらっしゃい-。ラーメン店やカラオケ店などが1人でも利用しやすい店舗や専用コーナーを設けるといったサービスを相次ぎ拡充している。当初は戸惑いもあった「1人カラオケ」は若者らの間で定着したほか、家族連れのイメージが強い焼き肉店で個別席を導入する例も登場。少子高齢化や長引くデフレで業績が伸び悩む中、1人客に照準を合わせ、多様化する消費者ニーズを取り込む狙いがある。
◆女性からの支持
「周囲の視線を気にせずにラーメンを味わえるよう工夫した。特に女性からの支持が強い」。豚骨ラーメン店を展開する一蘭(福岡市)の広報担当者は、間仕切りを置く1人客の専用スペースを設けた効果を強調した。
席の左右の間仕切りに加え、席正面のすだれは商品を提供する時以外には下ろされたまま。1990年代に「味集中カウンター」の名称で導入された。機械で食券を買うため、店員と会話したり顔を合わせたりしなくてもラーメンが食べられる仕組みだ。
吉冨学社長が学生時代、弁当を隠しながら食べる女子生徒を見て着想を得た。現在も来店者のうち女性が4割近くを占め、業績を牽引(けんいん)する。米国など海外店舗にもこのカウンターを設置した。