経済成長率7%、主要な流通通貨である米ドルでの投資が可能で、送金規制がないといった点が魅力となり、カンボジアの不動産投資が関心を集めている。しかし、カンボジアに抱くイメージは「地雷」や「難民」と、かつて約20年続いた内戦時で止まっている日本人も少なくない。
東南アジアの不動産投資コンサルティングを手掛けるアンナアドバイザーズの荒木杏奈社長は、そうした負のイメージを払拭し、カンボジアへの投資呼び込みに奮闘する。
◆高級物件を対象に
暖色の屋根が並び、仏領時代の名残かどこか欧州を感じさせる首都プノンペンの街並み。経済発展に伴い、近代的なオフィスビルや高層住宅の建設も目立つ。日系ではイオンモールや東横インも開業している。海外企業の進出が増える中、外国人駐在員向けの高級コンドミニアムやサービスアパートメントの建設も相次いでおり、アンナアドバイザーズが手掛けるのもこうした物件だ。
各国大使館や政府機関が並ぶ、日本でいうなら東京・赤坂に相当するようなエリアに建設予定の物件や、サービスアパートメント大手のアスコット(シンガポール)が運営する物件など、1000万~3000万円相当の高級不動産を日本人投資家に紹介する。
現在のカンボジアを理解して安心感を持って投資してもらうため、日本国内での不動産投資セミナーや、プノンペンへの視察ツアーを実施している。購入後の管理や運営、賃貸の仲介も担う。
SBIグループで東南アジアの投資環境を調査するなかで、抜群の魅力を持つと感じたのがカンボジアとの関わりの始まりだ。その後、カンボジアと日本の合弁会社で不動産開発事業を担当し、現地で暮らし始めた。1年余りで日本側企業が撤退を決めたことをきっかけに、自ら起業した。