【私の仕事】江戸切子の店華硝・小島悠輔氏 光輝くよう削りの技術磨く

「クリスマスなど季節ごとの模様を考えるのも楽しい」と話す小島悠輔氏
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 江戸切子の店華硝(はなしょう)(東京都江東区)の職人。約180年前の江戸時代から伝わるガラス細工、江戸切子のグラスや花瓶、料理の器を工房で作る。

 江戸切子は透明や赤、青といった色付きガラスの表面を削って模様をつけた工芸品。光が当たると反射してきらきら輝く。工房では魚の卵がつながった形やかごの編み目のようなデザインなど10種類ほどを制作している。

 まず、材料のガラスにひびや小石が入っていないかを調べる。「細かい下書きはしないが、目印を油性ペンで書く」

 次に円盤状の刃が回転する加工機械、グラインダーに器をあて少しずつ削って模様を作る。「刃をあてる角度や指先の力の入れ方がとても大事。1ミリでもずれると見た目が悪くなる」

 最後は曇ったガラスがすき通るまで手で磨く。模様付けと磨きは分担して行う。

 「同じ工房で働く先輩の作品は光の輝きが違う。もっと上手になって多くの商品が作れるように、ガラスを削る訓練を毎日している」

 サクラをイメージしてデザインした器を、中国に住む人へのプレゼントとして買ってくれた人がいた。「『切子を見ると日本を思い出すと、友人が喜んでくれた』と聞いたことが一番うれしかった」という。

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【プロフィル】小島悠輔

 こじま・ゆうすけ 法政大卒。飲食店で働きながらお笑い芸人を目指したが、江戸切子の店華硝の作品を見て感動し、2015年同社に入社。29歳。新潟県出身。