東京都心で25日、NTTドコモの携帯電話の音声通話やメールが約4時間40分にわたりつながりにくくなり、最大で252万人が影響を受けた問題で、同社は26日、「スマートフォン(高機能携帯電話)の急増に伴う通信量の増大」が原因となったことを明らかにした。岩崎文夫取締役常務執行役員が都内で会見して説明した。通信量が想定を超え、25日未明に交換したばかりの新型パケット交換機の処理能力が追いつかなかったという。
総務省は26日、ドコモに対し、通信量の増加に対応できる通信設備の配備など再発防止を求める行政指導をした。ドコモでは昨年から、送受信したメールのアドレスが書き換わるなどスマートフォンに関係した不具合が5件発生している。
会見で岩崎常務は「想定した見積もりが甘かった。多大な迷惑をおかけし、深くおわびします」と謝罪した。再発防止に向け、パケット交換機の一斉点検を行い、増設などの対策を取る。
同社によると、スマートフォンはネットに接続する際、「制御信号」と呼ばれるデータをドコモ側に送信する。こうした信号量を同社は当初、1時間あたり1200万アクセスと想定したが、障害発生時には1650万(推定値)と大幅に超過。処理能力の1410万を上回ったという。
昨秋からは、パケット通信を利用して“無料”の音声通話を行うスマートフォン向けのアプリ(ソフト)などが急速に普及。交換機に絶えず負荷がかかっていたほか、25日午前9時ごろにはJR山手線が一時運転を見合わせるトラブルが発生、遅延を知らせようとする利用者のネットへのアクセスがさらに集中したとみられる。
通信障害は25日午前8時半ごろに発生。旧交換機に戻すなどして午後1時すぎに復旧した。