東海沖から九州沖へ延びる「南海トラフ」で、将来発生が懸念される巨大地震の発生確率を検討してきた政府の地震調査委員会は、マグニチュード(M)9級とされる最大級の地震については算出が困難として見送る方針を決めた。
「M8以上の地震」とまとめた形では算出し、南海トラフ沿いのどこかで今後30年以内に発生する確率は60~70%とする。これまで南海トラフ沿いの地震を東海・東南海・南海の3つの震源域に分けて考えていたのを、3領域全体を1つと捉えることにした。
M9級の地震は南海トラフ沿いで発生した記録がない。そのため過去の発生周期を基に将来の発生確率を算出する現行の手法を適用することができなかった。
発生確率は、国や自治体が地震対策を立案する上で参照する重要なデータの一つ。「国難」ともされる位置付けで議論が進む最大級の地震への備えを、具体的な数値を欠いたまま検討しなければならなくなった。