アジア各地で楽器好きの日本人による吹奏楽団(ブラスバンド)結成の動きが広がっている。2004年3月、中国・上海に「上海ブラスバンド」が設立されたのを手始めに、タイの首都バンコクに続いて中国・深センにも広がった。今年は新たにベトナムの商都ホーチミンで「日本人による市民ブラバンを作ろう」という取り組みが始まっている。ホーチミンの活動をサポートするタイなどの動きを取材した。
◆来年中の活動目指す
7月28日の昼下がり。バンコク・スワンナプーム国際空港の到着ロビーに、ホーチミンからの来客を待つアマチュア吹奏楽団「バンコクブラスバンド」(BBB)の団長、古屋剛さんの姿があった。
古屋さんは商社勤務。現在、2回目のタイ赴任で滞在歴は通算12年半を数える。学生時代からロックバンドを組んでいたという古屋さん。楽団ではリーダーとしてドラムスを担当している。
古屋さんが待っていたのは、ホーチミン在住のホルン奏者、多田清香さん。4カ月前に夫の転勤でベトナム暮らしを始めたばかりだ。
中学校時代から吹奏楽一筋で、ベトナムに渡るずっと以前から東京都内の吹奏楽団で活動していたという。現在、ホーチミンで日本人だけのブラスバンドを作ろうと発起人となり、忙しい毎日を送っている。
多田さんがバンコクを訪れたのは、先輩格にあたるBBBの活動の視察が目的。「大好きなブラスバンドをどうしてもホーチミンでも続けたかった。ならば、自分で作るしかないと思いました」(多田さん)。インターネットでBBBの活動を知り、メールを交わすなどして協力を求めた。古屋さんらBBB側の快諾を得て、多田さんはタイを訪れることにした。