【Bizクリニック】「夕張メロン」を育てた努力と商標 (1/2ページ)

2013.10.22 05:00

 □西郷国際特許事務所所長・弁理士 西郷義美

 有名になった北海道の夕張メロンは「50年以上も変わらぬおいしさ」が評価を定着させた。それを維持しているのは「ブランドを死守する組合員の意気込み」だという。しかし、夕張メロンを名品に育てるまでには、並大抵ではない苦労があった。

 1960年に新品種の開発に成功したが、時代がメロンどころではなく、当初は売れなかった。努力するうちに、やっと売れだした。すると赤肉種だったり、網目が生じるネットメロンであれば「夕張メロン」だと他産地が便乗してくる。このまま放置できないと商標取得に動いた。

 ところが「夕張メロン」の文字商標が登録できない。「夕張」の地域名称がネックだった。商標法上、地域名称は独占にふさわしくないとされるからだ。だが「南部せんべい」や「フランスベッド」などは登録されている。知人の弁理士に聞くと、使っているうちに有名(使用による特別顕著性)になれば登録できると分かった。

 そのためには、特許庁に証拠を示すことが必要。まず新聞記事を集めた。次いで全国へのメロン発送時にアンケートを同封してお願いした。8割の人から好意的な内容の返信があり、120通以上の証拠が集まった。その結果、「夕張メロン」の商標を取ることができた。

 メロンの品質や収穫は、天候に大きく左右される。夕張メロンは不作のときでも検査は厳しく、合格したもの以外は絶対に出荷しない。一般的には規格以下のものは、別に用意した商標で出荷することが多い。それによって、中心商標のネームバリューを守るのである。

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