■バリューチェーンの広がりに着目せよ
産業競争力強化へ向けてどうするか-。有識者の話の中から、そのヒントを探していく。今回は元特許庁長官で、富士通副会長の肥塚雅博氏に聞いた。(知財情報&戦略システム 中岡浩)
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知財立国宣言(2002年2月)以降、国はさまざまな政策を打ってきたが、ビジネス環境、特に製造業などのビジネスモデルが変わりつつある。そして知財活用のあり方というか、知財ゲームが影響を受け始めた。ある意味、製造業が多様化し、知財を活用するためのビジネス環境は変化している。同様に各産業分野で知財のあり方が大きく変わり、さらにグローバルに展開している。
知財立国宣言があった頃は、従来の垂直統合的な産業を前提としての議論が交わされていたかもしれない。例えばNPEs(知財権の活用で収益を上げる企業など)とか、標準化とか、パテントプールとかについてだ。だが、いま米国のAppleやGoogleが他社の知財を買収している。両社をNPEsと呼ぶのだろうか。