秋田知事、先祖返り“佐竹の殿様”役でCM出演 縁深い龍角散

2013.11.8 08:39

 秋田藩主・佐竹家の分家、佐竹北家21代当主の佐竹敬久知事(65)が医薬品メーカー、龍角散(東京)のテレビCMに殿様役で出演することが7日、分かった。人気俳優の香川照之さん(47)と共演し、CMは10日から全国放送される。都道府県知事が民間企業のCMに出演するのは極めて異例だ。(渡辺浩)

 知事が出演するのは、「龍角散ののどすっきり飴(あめ)」のCM。秋田を舞台に、殿様の側近が典医役の香川さんに「殿ののどの具合が良いのは、そちのあめのおかげじゃ」と話しかけ、世が世なら本物の殿様である知事が「ほうびは何がよい?」と質問、香川さんが薬草畑を希望する-という内容になっている。

 自治体の広報戦略をめぐっては、神奈川県や佐賀県の知事がAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の曲に合わせて踊る動画がネット上で人気になるなど、あの手この手が使われているが、民間企業のCMをこうした形で利用するのは初めて。県の島崎正実総務部参事兼秘書課長は「公選法に抵触しないかどうかも調べた結果、県のPRになると判断した」と話している。

 龍角散の主力製品「龍角散」は江戸時代後期に今の美郷町六郷に住んでいた佐竹藩の典医、藤井玄(げん)淵(えん)が調剤。3代目の正(しょう)亭(てい)治(じ)が改良して12代藩主、義(よし)堯(たか)のぜんそくを治したとされるのが始まり。

 今も秋田と龍角散のつながりは深く、美郷町は2月に龍角散や東京生薬協会と連携協定を締結し、生薬の甘草の試験栽培を開始。八峰町では「のどすっきり飴」の原料であるカミツレ(カモミール)の栽培が始まった。CMではこうした内容も字幕で表示される。

 県幹部によると、今回の佐竹知事のCM出演は、龍角散の藤井隆太社長から美郷町の松田知己町長を通じて依頼があった。

 玄淵から数えて8代目に当たる藤井社長は「今度のCMは、当社の製品を宣伝するということより生薬の国産化をアピールする狙いがある。秋田の農業振興に少しでも貢献したいと考え、知事にご協力をお願いした」と狙いを語る。

 「ゴホン!といえば龍角散」「…と、日記には書いておこう」などのキャッチコピーを生み出してきた龍角散のCMへのデビューについて、佐竹知事は「龍角散が先祖のせきを治したという史実に基づいたCM」とご満悦。「ギャラは昼食の弁当1個だったが、秋田を宣伝できるのでそれでいい」と話している。

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 ■龍角散CMの内容

〈神社を参拝する殿様(佐竹敬久知事)〉

〈字幕「秋田県知事 佐竹敬久」〉

殿様の側近 殿ののどの具合が良いのは、そちのあめのおかげじゃ。

典医(香川照之) ははっ。

〈字幕「秋田県知事 佐竹敬久」〉

殿様 ほうびは何がよい?

典医 ならば、畑を。

〈香川のナレーション「水の国・秋田で薬草作りを始めました」〉

〈字幕「水の国、秋田で」「龍角散はカミツレの畑を始めました」「八峰町カミツレ畑」〉

典医 育った!

〈香川のナレーション「龍角散ののどすっきり飴」〉

〈字幕「美郷町と連携協定を結びました」〉

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