沖縄県石垣市の中学生30人が今月22日、東京都新宿区の早稲田大学を訪問し、鎌田薫総長と面会した。同市は平成23年度から「義務教育課程の児童・生徒の学力を県内最高水準にする」という「冠鷲(かんむりわし)プロジェクト」に取り組んでおり、この訪問は児童・生徒の向学心発揚を目的とした体験学習の一環。日ごろ「大学」と身近に接する機会のない島の中学生たちは、“憧れの早稲田”のトップや現役学生たちとの対話に目を輝かせていた。
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■大浜元総長のゆかりの地
石垣市は国の一括交付金活用策の一つとして今年度、市内の小・中学生の本土での体験学習を取り入れ、10月にまず小学生が「日本の歴史・文化の故郷」である奈良を訪問した。
これに続く中学生の体験学習は「世界の中心都市であり、政治・経済・産業・技術などあらゆる分野の情報が集まっている東京」についての理解を深めるのが狙い。なかでも早稲田大学は外すことのできない訪問先だった。同大の第7代総長を務めた大浜信泉(おおはま・のぶもと)氏は石垣島出身で、同市の名誉市民になっている。
昭和29年から41年までの12年間、早大総長を務め、沖縄返還にも力を尽くした大浜氏の功績を顕彰するために、石垣市は平成9年12月に「大浜信泉記念館」を開設し、「石垣市立教育研究所」を併設している。
「石垣市民にとって、大学といえば早稲田しかないと言ってもよいほど身近な存在なのです」と、この体験学習の発案者で、自ら中学生たちを引率してきた玉津博克教育長は言う。
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■世界にはばたけ「冠鷲プロジェクト」
玉津教育長が推し進めているのが「冠鷲プロジェクト」だ。
カンムリワシは石垣島や西表島などに生息するタカの仲間で、特別天然記念物と環境省の絶滅危惧種に指定されており、石垣市は「市鳥」に定めている。