【Bizクリニック】特許権侵害警告 受領時の3段階解決法 (1/2ページ)

2014.2.25 05:00

 □西郷国際特許事務所所長・弁理士西郷義美

 デジタル一眼レフ用レンズの手ぶれ補正機能を巡り、ニコンとシグマで争われていた特許権侵害訴訟で、東京地裁は14日、シグマに約15億円の支払いを命じた。特許権侵害事件は、このように企業経営に大きな影響を与えるので、実務の流れを解説する。

 特許権侵害の争いは、警告書の発送・受領から始まる。受け取った者は3段階解決法で対処する。

 第1段階は事実掌握。紙に何が起きたか、どうなっているかを書き出す。「認知の歪み」を正すのである。第2段階では最悪の結果を考え、万一のときは潔く受け入れることを覚悟する。第3段階では解決法を考える。物事には何かしらの手がかりがあるものだ。

 侵害警告書を受領した場合の対策手順を説明する。まず、相手の特許権が本当に存在するかを確認する。特許登録原簿により特許権が有効に存在するか、正当な権利者のものかを確認する。次に特許発明の技術的範囲を検討する。特許公報を入手し特許請求の範囲の記載から権利範囲を検討する。これには、出願時の技術水準を知る必要があるため、出願前の公知文献などを調査する。なお、特許発明の技術的範囲は、特許庁に判定を求めることが可能だ。この判定は法的拘束力を持たないが、裁判所で尊重される。

 侵害していると判断した場合は直ちに実施を中止する。続行すると故意での侵害となり、刑事罰(10年までの懲役刑、1000万円までの罰金刑、法人は3億円までの罰金刑)を受ける羽目になる。その後、可能であれば、実施許諾あるいは権利譲渡を受けて正当実施できるように交渉する。また調査の結果、特許権に無効理由を発見したときは、特許無効の審判を請求できる。無効の審決が確定すると警告の根拠が失われることになる。このほか、先使用権があるか、特許権の効力の及ばない範囲の実施(家庭内の実施など)に相当するかなども検討する。

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