新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)が8日に行った不服申し立ては、理研の調査委員会の見解と真っ向から対立するものとなった。研究不正の条件とされる「悪意」の有無が最大の争点になる。
理研の規定によると、「悪意のない間違い」は不正に含まないとされており、小保方氏はこれを根拠に、不正ではないとの主張を申立書で展開した。
調査委は、STAP細胞がさまざまな細胞に分化する万能性を持つことを示す重要な画像が、小保方氏の博士論文に関連する別の実験画像から流用された点について「条件が違う画像を使うこと自体、単純な間違いとは理解しがたい」と悪意を認定、捏造(ねつぞう)と断じた。
これに対し小保方氏は「勘違いによる悪意のない取り違えにすぎない」と反論。さらに「捏造は存在しないデータや研究結果を作り上げ、記録または報告すること。掲載すべき画像が存在しているため該当しない」と主張している。
また、STAP細胞を作製した証拠となるDNAの解析画像を切り張りした点について、調査委は「当時の小保方氏は(論文投稿規定で)禁止された行為という認識が十分になかった」としながらも、「データの誤った解釈へ誘導する危険性を認識してなされた」と悪意があったことを認め、改竄(かいざん)と判断した。