【論風】地球環境戦略研究機関理事長・浜中裕徳 日本のCO2排出削減 (1/3ページ)

2014.6.5 05:00

 ■共同の努力に見合った削減を

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第5次評価報告書(AR5)として、今年4月までに第1、第2および第3の各作業部会報告書を公表した。10月に統合報告書を公表の予定だが、そのメッセージはおよそ固まったとみてよいだろう。そこで、IPCC-AR5が今後の気候変動対策にどのような意味を有するかについて考えてみたい。

 ◆排出可能期間は30年

 AR5の最も重要なメッセージの一つは、二酸化炭素(CO2)の累積排出量とそれに対する世界平均地上気温の応答が比例関係にあること、つまり地球温暖化がどのレベルで進行するかは、ある幅のCO2累積排出量と関連づけられる、ということである。気候変動枠組み条約締約国会議で合意されている気温上昇を2度未満に抑制する目標を、66%を超える確率で実現するためのCO2累積排出量の上限は、CO2以外の温室効果ガスの影響を考慮すると約7900億トン(炭素換算、以下同)であり、2011年までにすでに約5150億トンが排出されているため、残る許容排出量は2750億トンとなる。現在世界のCO2排出量は約90億トンであるから、現状水準で推移したとしても排出可能な期間はおよそ30年に限られることになる。

 第3作業部会報告書では、気温上昇を2度未満に抑制できる可能性が高いシナリオの場合、50年までに世界の温室効果ガス(GHG)排出量を10年比で40~70%削減し、2100年までにほぼゼロにすることが必要だとしている。またこれ以外にも多くの長期的排出削減シナリオに関し分析を行っており、2度未満抑制の確率は半分以下だが、2.5度未満抑制は70%程度の確率で実現するものなども含まれている。ただし、このシナリオについても累積排出量の制約は厳しく、現状水準で排出可能な期間が倍になることはない。

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