【ビジネスアイコラム】タイ政変 日本だから言うべきことがある (1/2ページ)

2014.7.28 05:00

 外国に長期滞在中、パスポートが急に取り消されたらどうなるのか。そんな考えもしなかったようなことが最近、身近で起きた。

 「いったい私は誰なんでしょうか」

 タイの元外交官で、現在は京都大学東南アジア研究所のパビン・チャチャバルポンプン准教授は今月初め、突然自分のパスポートを取り消された。友人である彼が発した問いに、直後に大学の研究室を訪れた私は返す言葉はなかった。

 パビン氏は、タイやミャンマーの政治・外交などの専門家として知られており、タクシン元首相に関する著書もある。この数年、彼は学者として民主主義を信奉する立場からクーデター批判や、タイ王室を維持するためにも王室は政治から距離を置くべきだといった論評を展開してきた。

 そのため、王制の堅持を主張する体制側からは、常に警戒され言動や論文、原稿をチェックされていた。今回のクーデターで軍政から帰国と出頭を命じられたが、応じれば勾留される危険が高いと判断し、命令を無視。そのため逮捕状が出され、さらにパスポートが無効にされてしまった。実際、召喚に応じたタクシン派幹部や学者らのうち、今後、軍政批判を行わないことや国内にとどまることなどを約束した人は釈放されたが、勾留されたままの人もいるという。

 タイでは、5月22日のクーデター宣言から2カ月が経過したが、軍政は前回までのクーデターとは変わって相当な時間をかけつつ、国民の支持取り付けだけでなく、国際社会へ理解を求めようとしている。

 クーデター直後に各国外交団への説明を行っただけでなく、タイ進出企業の代表らに軍政トップのプラユット司令官自らが会い、経済政策などに変化がないことや、早急に民政復帰を目指すことなどを説明した。

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