IPイノベーションズ代表取締役浦山昌志【拡大】
■研修効果測定へ踏み出すヒント
研修費用の削減に上位層の注目が集まり、どれだけコストダウンしたかが問われることが多くなってきた。さらに、研修のROI(Return on Investment=投資利益率)が上層部から求められてもいる。
以前属していた会社は、期末が近づいてきて事業部としての利益が上がりそうなら研修を実施するが、そうでない場合は研修費用に手をつけずに期を終わる措置がとられていた。研修費用という名の、利益のバッファーを持ち合わせているだけだったのだ。研修は単なるコストであり、投資という観点ではないことが明白である。
一方、研修が投資であるなら、その投資効果をきちんとROIで計測しなければならない。しかし、この効果測定の視点が人材開発部門において弱いポイントと言わざるを得ない。
2014年7月16日に東京で行われた人材開発のフォーラムにおいて、米国の調査会社i4cpのケビン・オークスCEO(最高経営責任者)は「企業は研修効果をその会社のビジネスインパクトに照らし合わせて計測することを常とすべきだ」と主張した。
一般的な研修効果測定は、レベル1=アンケート、レベル2=研修内でスキル習得レベルのチェックテスト-といったカークパトリックのレベル設定が有名である。
通常はレベル1から着手するのがほとんどだが、ケビン氏はそれを逆にひっくり返して「最高レベルのビジネスへの関連や影響から議論することを最初にやるべきだ」と付け加えた。全くその通りであり、これが学びとパフォーマンスをつなげる働きであると思う。現場のパフォーマンスと業績向上につながる学びの文化をどのようにつくるかが問題なのである。