知的資産の開発・活用・投資やコンサルティングを手掛ける知財支援機構(神奈川県鎌倉市)は2015年1月、グローバルな特許売買を可能にする新たな知財取引支援システム「ipaEX(IP Asset Exchange)」を稼働させる。
ipaEXは、企業や研究機関などの売り手が売却したい特許などを登録し、その情報を買い手候補として指定する企業だけに開示して、候補の中からの引き合いと成約を目指すウェブベースのマッチングシステムだ。開示を受けた買い手は売り手へ実名で直接連絡するか、ipaEXを使って匿名で連絡し、交渉する。売り手、買い手とも全世界が対象で、使用言語は英語となる。
最大の特徴は買い手候補を企業に限定している点だ。知財支援機構の山崎寿郎社長は「ipaEXではPAE(研究開発や製造はせずに特許を買い集め、企業などに高額訴訟を起こす個人や企業)が取引に参加できない仕組みにした」と強調する。イノベーションや製品化に活用されるべき特許がPAEに渡り、訴訟に利用されて莫大(ばくだい)な賠償金や和解金を奪われる企業が少なくないからだ。
米国政府はすでにPAEなどの対策に乗り出しているが、日本では「近年、金融機関に背中を押されて経営資産売却を進める企業が増え、特許がPAEに直接流れている」(都内の弁理士)とされ、今後の知財訴訟の火種になることが懸念されている。