川崎中1事件の加害者に対して厳罰を望む声、さらに少年犯罪の厳罰化を望む声がある。
少年法は実名報道を禁じているが、週刊新潮はあえて実名の記事を掲載し、これを是とする意見も少なくない。インターネットには、「犯人には極刑しかない」と吐き捨てるようなコメントが並んでいる。
私はこのような傾向に対して、法律家として強い違和感がある。
本当に少年は凶暴化しており、それに対して厳罰化が必要なのだろうか。
まず、事実として、殺人を犯す少年は激減している。戦後から1965年頃まで殺人事件で検挙された少年の数は、おおむね400人前後だった。その後は減少が続き、75年以降はほぼ2桁に収まっている。少年凶悪犯罪の件数も戦後の3割弱まで減っている。
窃盗などを含む犯罪少年の数も2004年の1万3284人から13年の5248人へと大きく減少し、凶悪犯・粗暴犯も減少した(警視庁・少年非行の傾向 13年)。
このように、少年の犯罪の減少傾向は明白だ。
事件として珍しくなってきているからこそ、報道価値が上がり、それがスクープとして詳細に、かつ執拗(しつよう)に報道されることによって、体感治安が悪化しているというのが実態なのだ。