中国の独占禁止法対策に世界の企業が注目し始めている。英国の大手法律事務所、バード&バード(B&B)は「競争法順守プログラム」策定支援など、各国企業とその中国現地法人を対象に独禁法対策支援を開始した。
競争法順守プログラムとは、独禁法違反リスクを回避するために整備する企業内部の順守プログラムのこと。中国企業でも、導入が検討されている。
B&Bの道下理恵子・ニューヨーク州弁護士は、「中国独禁法は欧州連合(EU)競争法がベースで、B&Bの得意分野。グローバルベースで54人の専門家がいて、日本企業には北京オフィスを中心に対応する。独禁法違反リスク評価、吸収合併に関するアドバイス、調査、競争法観点からの契約審査、競争法コンプライアンス(法令順守)プログラムの策定と実行の支援、訴訟などのメニューを用意している」という。
中国独禁法違反では過去、多くの日本企業も罰金を命じられている。現地での事業活動には、本社からの統制やチェック、現地での法令順守教育などが重要になる。当局から違反が疑われると数カ月間にわたる長期間の調査が行われ、情報提出義務が課せられる。風評が悪くなる上、違反が確定すると2度目の違反では、罰金などの重科が課される可能性が高くなる。
中国独禁法が注目され始めたのは今年3月、国家発展改革委員会の価格監督検査・反独占局の局長に張漢東氏が就任したからだ。許昆林・前局長時代の2月には、米通信技術大手クアルコムに対して60億8800万人民元(約1181億6800万円)という中国独禁法による過去最大の罰金が科せられた。トップ交代で今後どのような施策が打ち出されてくるか、戦々恐々というわけだ。