岩手県のほぼ中央に位置する紫波(しわ)町では、町役場などの公共施設、商業施設などに木質バイオマスを利用した地域熱供給サービスを展開しています。国内ではまだ珍しい自然エネルギーを生かしたまちづくりに取り組む紫波町を訪ねました。
◆オガールプロジェクト
人口約3万4000人の紫波町では、数年前に「オガールプロジェクト(紫波中央駅前都市整備事業)」を立ち上げ、10年以上利用されていなかったJR東北線・紫波中央駅前の町有地(10.7ヘクタール)を、公民連携で整備を進めていることが注目されています。
駅前のエリアは「オガール地区」と呼ばれ、公共施設や商業施設の建設が進められています。2012年6月に図書館や地域交流センターなどがある「オガールプラザ」、14年7月にはスポーツ・宿泊施設などの民間複合施設「オガールベース」がオープンし、それらの北側では紫波町庁舎やエコハウス57戸などの建設が進められています。
エコハウスは民間の住宅デベロッパーではなく、町が自ら土地の分譲を手掛けていることも特筆すべきでしょう。町産材を80%以上利用した木造住宅には、高性能サッシや厚い断熱材を装備し、厳しい冬でも暖かく快適で、かつ省エネで低炭素な暮らしができる工夫がされています。
紫波町役場の建設工事は、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)により今年5月の利用開始を目指して進められています。そして、今回私が注目したのは、オガール地区では建築設計面だけでなく、エネルギー供給でも先進的な取り組みが進められていることです。