■評価書作成、普及に注力
特許庁は「知財金融促進事業」の一環として、全国の金融機関を対象に「知財ビジネス評価書の作成支援」に関する申請の受け付けを、専用の知財金融ポータルサイトなどで開始した。昨年度は18金融機関で37件採択されたが、今年度は約4倍の150件前後を採択する予定。また同事業では今後、作成された知財ビジネス評価書を用いた融資実行事例などを活用して知財融資マニュアルの作成や知財金融シンポジウムを実施する。
途上国も含めた世界的なイノベーション競争の時代を迎え、新たな特許・技術を活用したビジネスが世界中で勃興する中、従来の財務評価重視、担保や保証を使う融資手法を踏襲していくだけでは、将来の日本を支える企業や事業を生み出すことが難しくなりつつある。
しかし、日本の金融機関では企業に対する融資審査を行う際、企業が保有する特許・技術を評価する人材や評価手法が十分にそろっていない。例え有望な特許・技術を取得・開発した企業やベンチャーが新事業のための融資を申し入れても、金融機関はその可能性を十分に評価するまでには至らず、融資はもとより事業化支援もできないでいるケースが散見される。
特許庁では昨年度から長官の肝いりで知財金融促進事業を開始。中小企業などが保有する特許・技術など、知財を活用した新たな事業に関して、知財評価の専門家やノウハウを擁する調査機関に委託して知財ビジネス評価書を作成し、金融機関に無償で提供している。