越智小枝さん【拡大】
□相馬中央病院内科診療科長・越智小枝さん
原子力発電所の再稼働が今夏から始まる見通しだ。安価な電気の安定供給への期待が高まる一方で、再稼働反対も根強い。より生活者に近い視点から将来の日本のエネルギーを考えるため、幅広い層の女性識者にエネルギー政策のあり方を聞く。
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■がんの「ゼロリスク」はない
--先生は福島県相馬市での診療活動を通じて、災害公衆衛生の専門家として放射線の健康への影響について情報発信しています。放射線の影響ではがん発症リスクがとかくクローズアップされますが、一般の人は放射線の健康リスクをどう受け止めるべきとお考えですか
「ICRP(国際放射線防護委員会)の報告では、『年間100ミリシーベルトからがんのリスクは上昇するが、同未満では確かな証拠はない』とされており、その上昇率は100ミリシーベルトで5%程度といわれています。しかし、個人にとって大事なのは、自分ががんになるかならないかなんです。パーセンテージの話をしたところでその不安はぬぐえません。ただ、放射線だけが、がん発症リスクとして過剰に取り沙汰されている面があります。がんリスクは放射線以外にもたくさん存在しますし、放射線を過剰に怖がるせいで、精神的なストレスなど別の健康リスクを抱え込んでしまうことにもなりかねません。他の健康リスクが高まらないのであれば、放射線を避けたいだけ避ければいいのですが、現実には過剰反応することによって他のリスクを抱え込んでしまう危険性があるということにも思いをいたすべきです」