【生かせ!知財ビジネス】次代の注目人材(3) (1/2ページ)

2015.10.10 05:00

「知財の価値評価や高度分析について、事業化を研究している」と話す発明通信社の山縣大輔社長

「知財の価値評価や高度分析について、事業化を研究している」と話す発明通信社の山縣大輔社長【拡大】

 ■より付加価値の高いサービスステージへ

 発明通信社(東京都千代田区)は創業85年を誇る知財ビジネス業界の老舗の一つ。主力はインターネットを使った特許情報検索サービスで、5月に新開発の「HYPAT-i2」を投入し、海外を含めた特許調査にも力を入れ始めている。4月に就任した山縣大輔社長(42)は祖父、父の跡を継いだ創業家の3代目だ。

 山縣氏は「高校生の頃からアルバイトをしていて、これから面白くなる業界だと思っていた」と振り返る。紙の特許公報を機械で読み取り、電子化(テキストデータ化)する仕事で、入社後も同じ現場に配属された。

 特許庁は1992年から特許と実用新案の公開公報の発行を紙からCD-ROMへ移行したが、過去分を電子化していなかったため、企業の要望に応えて同社が独自に400万件もの電子化を進めた。精度が高く、国内の特許情報検索サービスの進展に大きく貢献。2012年に特許情報普及活動功労者表彰で特許庁長官賞を受賞した。

 海外データベースの整備も進める。米国、欧州に続き、中国、そして東南アジアにも目を向けている。「企業において海外出願の優先度が上がり、海外データのニーズも増加した。だが新興国では日本のように特許の書誌や全文などが整備されていない。きちんとデータクリーニング(データ書式など規格を統一すること)されたデータを提供するのが役割だ」という。

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