トヨタのFCV関連特許の無償開放について解説する望月俊一氏【拡大】
■解析手法標準化、アナリスト育成に貢献
6日、都内で国内有数の企業の知財関係者を前に「トヨタが燃料電池自動車(FCV)特許を無償開放した真の狙いは?」と題する講演があった。講師は創成国際特許事務所(東京都新宿区)の望月俊一調査課長(37)だ。
トヨタ自動車は今年初め、5000件余のFCV関連特許の無償開放を発表した。望月氏は競争上の技術的課題は水素タンクの構造と内部の温度制御にあることを指摘しながら「状況はトヨタの絶対優位ではなく、だからこそ特許の無償開放による仲間作りを始めた」とみる。
望月氏は特許庁の審査官が用いる特許分類を駆使してFCVに関する特許情報を解析した結果を用いながら、トヨタの強みや弱み、本当の狙いや戦略などに迫る。その実力は昨年、知的財産教育協会の知的財産アナリストにトップの成績で認定されたことで証明されている。
「特許解析の目的に応じ、どのような解析手法が有効かを現在研究中だ。いずれそれらを標準化して、そのノウハウを搭載した解析ツールの開発やアナリストの育成事業に貢献したい」と夢を語る望月氏は、知財の世界に入って12年目。当初、弁理士を目指して特許事務所の実務を習得するうちに特許調査、さらに特許解析に専念するようになり、ついには解析課を立ち上げた。