軍政下のタイで憲法起草委員会による新憲法の最終草案が3月29日に発表された。軍人を含む非議員の首相就任が可能となるなど民主化の大幅な「後退」が特徴で、当分の間、軍の直接的間接的な支配が継続する見通しだ。全権を統率する元陸軍司令官のプラユット暫定首相も「満足している」と述べ、8月にも予定される国民投票に向けて周知活動を進めていく考えだ。だが、国民の関心は総じて低く場当たり的で、軍政が目指すとしている「国民和解」の実現は困難との見方が広がっている。
◆タクシン派封じ込め
最終草案のポイントは大きく3つ。(1)非議員の首相就任を容認(2)上院(250議席)は任命制(3)憲法裁判所の権限強化だ。
(1)については、1997年憲法から続いている「首相は下院議員から選出する」とした要件を撤廃。下院総選挙(500議席)ごとに各党が首相候補者リストを提示、選挙後にリストから選出されるとした。これにより、政治混乱時などに軍出身者らの非議員が首相に就く道が確保された。
(2)については、陸海空軍司令官など軍関連の6ポストにあらかじめ議席を振り分けるほか、「中立」の立場の選出委員会が軍、官、学者、財界などから議員を選出する。97年憲法では全議席が公選制、2014年クーデターで停止された07年憲法でも過半弱の議員が選挙によって選出されていたが大幅に後退した。選出委の構成は今後に委ねられるが、非議員の首相就任に上院の同意を要件としたことからも、時の政権の意向が色濃く反映されるのは確実な見通しだ。