沖縄や洞爺湖の両サミットを上回る2万数千人規模の厳重な態勢を敷く警察当局が最も警戒するのが、組織に属さない「ローンウルフ(一匹おおかみ)」によるテロだ。首相官邸に小型無人機「ドローン」を飛ばした男や東京・靖国神社で爆発音がした事件で逮捕された韓国人の男は、いずれも「一匹おおかみ」(警察当局幹部)だった。「見えない脅威」にどう立ち向かうのか。
「ゲリラ戦 とりあえず1人で活動…ローンウルフだ」。首相官邸にドローンを飛ばした男は自身の行動を詳細にブログに記録。原発再稼働反対を訴えるのが動機だったが、組織性はなく出頭するまで捜査線上に浮上しなかった。
インターネットを通じテロ情報は世界に拡散。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)は単独テロも呼び掛け、共鳴する若者が中東や欧州、東南アジアなどで後を絶たない。「日本でもISに賛同しネットで連絡を取り合う人物がいる」(警察当局幹部)といい、注視している。
東京・霞が関の政府合同庁舎20階にある、サミット警備の司令塔を担う警察庁警備局。こうした状況を受け、ネット上のテロ情報や過激な言動を把握、分析する「オシントセンター」を4月に立ち上げ、24時間態勢で目を光らせている。
欧州で相次いだテロで警備情勢は一変。パリやベルギーのテロで使われた爆弾の原料は薬局やネットでも購入可能で、業界の協力も得て大量購入にも注意を払っている。