
サントリーのノンアルコールビール「オールフリー」(右)とアサヒビールの「ドライゼロ」【拡大】
市場が拡大しているビール風ノンアルコール飲料をめぐり、「オールフリー」を販売しているサントリーホールディングスが、アサヒビールの「ドライゼロ」に製造特許を侵害されたとして、アサヒ側にドライゼロの製造・販売差し止めを求めた訴訟は20日、知財高裁(高部真規子裁判長)で和解が成立した。両社は今後も商品の製造・販売を続ける。
関係者によると、和解内容は、(1)1審で敗訴したサントリー側は、控訴を取り下げる(2)アサヒ側は、特許庁に請求していたサントリーの特許無効審判を取り下げる-というもの。両社はその他の和解内容を守秘義務のため非公表としたが、双方に和解金などの支払いはないとみられる。
1審東京地裁は「サントリーの特許は既存製品から容易に発明でき、新規性がない」として、サントリー側の訴えを退けていた。
サントリーは、「エキス(飲料中の風味成分)の割合=0・5~2・0%」「水素イオン指数(pH)=3・0~4・5」「糖質含有量=100ミリリットル当たり0・5グラム以下」のノンアルビールについて製造特許を持つとし、「ドライゼロの成分はこれらの範囲内にあり特許侵害だ」と主張。
一方、アサヒは「エキス割合やpHを調整して味を作るのは業界では一般的な手法の上、特許は既存の製品から容易に発明できるため新規性がない」とし、特許は成立しないと反論していた。
和解を受け、両社は「互譲の精神に基づく和解だ」とのコメントを発表した。