
(左から)正林真之所長と地域ブランド支援検討チームの小野寺隆氏、瀧田証氏、小林龍雄氏【拡大】
地方創生を目的に導入された「地域団体商標」(地団)が制度発足から10年を経過。商標を扱う大手の一つ、正林国際特許商標事務所はこのほど、地団の活用支援サービスを導入していく方針を明らかにした。
小野寺隆顧問弁理士は「権利者となる地域団体がどう地域産品の売り上げを伸ばし、地域作りをしていくかという権利の活用を考えねばならない時期に来た」とみている。特許庁などの調査では地団の効果は「知名度」や「信用度」は上がるが、「売り上げ」や「利益」は必ずしも上がっていない。“地団をとればブランド化してもうかるようになる”という幻想は消えつつある。
原因はどこにあるのか。小林龍雄技術本部調査役は「(地域生産者が)同じ品質の産品を提供しないとブランド力は落ちてしまうが、地団の管理規定や、産品などの品質規定が作られていない。地域ブランドをどうしていくか合意形成がそもそもされていない」と地域団体の組織的脆弱(ぜいじゃく)さを指摘する。公認会計士でもある瀧田証弁理士は「地団導入が事業としてうまくいっているか、利益はその一つの指標」と説明する。当然、これらは特許庁ではなく、地域団体の問題だ。
同特許商標事務所の活用支援サービスの1つ目は、地域団体が地団を活用する基盤となる内部統制構築の支援である。地域団体の理念や規則、地団を活用する際の管理規定(例えば産品品質規定)などのルール化に関する業務だ。
2つ目は、地域や類似業種で地団活用協会や品質管理協会などの専門組織を設立するための支援または代行業務である。地域団体がブランド形成や権利侵害対応を具体的かつ現実的に実施できるようにする。