【高論卓説】蓮舫氏の二重国籍はなぜ問題なのか 権利と義務は表裏一体 (1/3ページ)

 租税回避と同根、モラルハザードも

 蓮舫氏の二重国籍問題が大きな社会問題となった。基本的に日本は二重国籍を認めていない。背景には日本の国家としての成り立ちとアイデンティティー、そして、安全保障上の理由がある。多重国籍を認めている国と比較し、日本が遅れているなどと批判的な意見を述べる人もいるが、国家としての成り立ちや地政学的な違いが存在し、一概に遅れているなどという話ではない。

 例えば、大陸では、歴史的にも文化的にも多くの民族が入り乱れており、日本のように『自然国境』で遮られておらず、民族と国家の在り方が違う。また、移民国家である米国では、移民が当たり前のため、米国内で生まれたことで国民と認める『出生地主義』が採用されている。それに対して、島国である日本では民族性を優先する『血統主義』が採用されてきたわけだ。

 そして、日本が単純に排他的であるかといえばそうではない。両親のどちらかが他国の国籍を持つ場合、『国籍選択の自由』を与えており、国籍を選ぶ自由は存在する。また、外国人であっても一定の条件さえ整えれば日本に帰化することもできる。

基本的に、国籍選択や帰化の際には、他国の国籍を放棄する必要があるが…