
ロボットシャトルはマイクロバスのような形=秋田県仙北市【拡大】
ハンドルなど運転席のない無人運転車両の、国内では初めてとなる公道での走行実験が13日、秋田県仙北市の田沢湖畔で行われた。国家戦略特区における内閣府のプロジェクトで、一般公募で集まった市民らが、県道で片道約400メートルの湖畔を試乗。「不思議な感じがした」「移動手段として早く実用化してほしい」などの声が聞かれた。
走行実験はインターネット関連事業大手のディー・エヌ・エー(DeNA、東京都渋谷区)が委託を受けて実施。同社が保有する仏ベンチャー企業イージーマイル社製の無人運転車両「ロボットシャトル」(定員12人)2台を使用した。8月に千葉市の公園敷地内で試験走行しており、公道は今回が初となる。
ロボットシャトルは全長約4メートル。リチウム電池で動きGPSやカメラ、各種センサーを備え、走行予定ルートをあらかじめ走って道路状況のデータを取り込んだ上で自動走行する。レーザー光を使うレーダーや加速度を測る慣性計測装置(IMU)、タイヤの回転数などからも走行状況をチェック。最大時速は40キロメートルで、この日は時速約5~10キロで徐行運転。試乗者からは「モノレールのよう」といった声も出ていた。
試乗した内閣府の山本幸三特命担当相(地方創生)は「近未来の姿として全国に広げていきたい」と話した。仙北市では「2020年東京五輪の際に田沢湖畔を走ってほしい」(門脇光浩市長)と外国人誘致も視野に置く独自の観光サービスと、過疎地域で高齢者など交通弱者の移動手段として活用したい意向がある。DeNAは大型ショッピングモールやテーマパーク、大学構内や空港での活用も想定している。
課題は法整備や安全性の確保。試乗した市民の間からは「雪道でスピードを出したらスリップ事故を起こさないか」(秋田市に住む70代の男性)といった不安の声も聞かれた。DeNAの中島宏執行役員は、「実証実験を重ねて、より安全性の確保に努めていきたい」と話していた。