【高論卓説】トランプ米大統領の中東政策 親イスラエル、反イランが鮮明 (1/2ページ)

2017.1.26 06:10

 トランプ米大統領のこれまでの国際関係の発言をみると、ロシアに優しく中国に厳しい姿勢が最大の特徴である。では中東はどうかとみれば、親イスラエル、反イランの色彩が鮮明だ。

 実際、トランプ大統領が親イスラエルであることを示すように、ホワイトハウスの顔である新報道官に起用されたショーン・スパイサー氏は就任式前日の19日の記者会見で「トランプ氏はイスラエルが値するにふさわしい尊厳を得ていないと明らかにしてきた」と述べ、新大統領がイスラエルとの関係修復に乗り出す考えを示唆した。

 他方、イランについてトランプ大統領は就任5日前の15日、英タイムズ紙とのインタビューで「イラン核合意は今までに見た最もばかげた取引の一つ」と酷評している。

 トランプ大統領のイスラエル政策で最も注目されるのは、選挙期間中の発言通り米大使館をテルアビブからエルサレムに移すのかどうかである。

 仮に移せば、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の信徒を巻き込む新たな宗教紛争に発展することは必至だ。また国民の大半がイスラム教徒である親米アラブ国家、サウジアラビアやヨルダン、エジプトなども米国と距離を取らざるを得なくなる。そうなればイランを封じ込めるべく、穏健アラブ諸国との関係改善を模索してきたイスラエルの努力も水泡に帰す。

 さらに、大使館移転は総じて敬虔(けいけん)なイスラム教徒の多い中東、アラブ、イスラム諸国の反米感情を高め、イスラム過激派によるテロを拡大するだろう。米大使館のエルサレム移転は、イスラエルとしても冷静に考えれば多くのマイナス反応が見込めるだけに、慎重に検討すべき課題であることが分かる。

 果たしてトランプ大統領が、米上下両院によって1995年に可決された米大使館移転法案に関して判断を求められる6月までにいかなる決定を下すのか注目される。

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