欧州特許庁(EPO)がまとめた「2016年アニュアルレポート」によると、EPOへの特許出願件数で日本は前年比1.9%減だったが、企業別ではソニーが30%近い伸び率を示し、躍進が目立った。
全出願件数は0.4%減の15万9353件。日本企業のトップ、全体13位のソニーは1118件。トヨタ自動車17位、キヤノン18位、パナソニック20位と続く。特にソニーは27.8%増と20位までの国際企業の中で伸び率1位だった。知財解析専門の武藤謙次郎・シニア知的財産アナリストはソニーについて、「14年頃から出願数が増加傾向にあり、特徴的なのは無線通信関連技術の急増。IoT(モノのインターネット)やビッグデータの世界につながるM2M(マシン・トゥ・マシン)関係も多い。世界に対応できる無線通信環境の標準化を企図しているのではないか」とみる。
企業全体ではオランダ・フリップスが6.9%増の2568件と2年連続の首位をキープ。携帯電話大手の中国・ファーウェイが14年5位、15年4位から16年2位に飛躍した半面、韓国・サムスン電子は1位、2位、3位と順位を下げ、明暗を分けた。
分野別は5位まで前回と同じ顔ぶれで、最多の医療技術が全出願件数の約8%を占め、デジタル通信約7%、コンピューター技術約7%、電気機械・装置・エネルギー約6%、輸送約5%の順。日本は電気機械・装置・エネルギーで国別1位、コンピューター技術と輸送で同2位を維持した。日本からの出願の内訳は、電気機械・装置・エネルギー約10%、運輸約8%、デジタル通信約6%、コンピューター技術約6%、医療技術約5%の順だった。