三重大の山田芳司教授(ゲノム医学)らの研究グループは、DNAの構造がわずかに異なる「多型」があることにより、心筋梗塞が約3倍発症しやすくなる遺伝子を新たに特定したと発表した。
心筋梗塞は生活習慣や環境のほか、遺伝的な要因が大きく関係しているとされる。山田教授らが見つけた心筋梗塞の発症を高める同様の遺伝子は6種類目となる。
同じ遺伝子でも、人によってDNAを構成する塩基の配列がわずかに違う多型という部分がある。グループは、心筋梗塞の既往歴のある2438人と、既往歴のない9210人の血液を採取し、遺伝子のタンパク質の構成に関わる部分を詳細に解析。既往歴のある人に多く、ない人に少ない多型を比較し、発症に関係するとみられる遺伝子の多型を見つけた。
白血球などの免疫細胞をコントロールする「STXBP2」という遺伝子の多型で、これを持つ人は血栓ができやすくなり、心筋梗塞の発症比率が一般よりも2.94倍だった。女性では3.77倍になった。
山田教授は「関連する多型からリスクを正確に予測できるようになれば、積極的に治療し、予防につなげることができる」と話している。