墓前で泣き崩れ…龍馬の“許嫁”千葉佐那の墓にファン殺到 (1/2ページ)

2010.4.9 17:30

ドラマでは貫地谷しほりが演じた

ドラマでは貫地谷しほりが演じた【拡大】

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」から新たな観光スポットが生まれた。坂本龍馬の許嫁とされ、生涯独身を貫いた千葉佐那の墓が、墓参に訪れる人でにわかに賑わっている。所は江戸から遠く離れた山梨県甲府市内の清運寺(せいうんじ)。いったいなぜ彼の地に?

 ドラマでは女優、貫地谷しほり(24)が演じている佐那。江戸に剣術修行に訪れた龍馬が学ぶ千葉道場の当主定吉の娘で、「千葉の鬼小町」と呼ばれながら、しだいに龍馬に心をひかれる。実際、武芸に秀で、美人の誉れが高かったことは、佐那が藩主の姫君相手に剣術指南を務めていた宇和島藩の記録にも残されていた。

 その後の佐那は、明治に入ると学習院女子部の舎監を務め、のちに家伝の鍼灸院を開いて、1896年に亡くなっていた。東京・谷中の墓地に埋葬されたが、独身ゆえ無縁仏になりそうになった。そこで、佐那の鍼灸院の患者だった甲府の自由民権運動家、小田切鎌明の妻、豊次が菩提寺だった清運寺に分骨し、墓を建てたという。

 墓碑には表に「千葉さな子墓」、裏側には「坂本龍馬室」と刻まれている。豊次が佐那から「私は龍馬の許嫁でした」と聞かされていたためだ。

 これまで清運寺には剣道を学ぶ女性が願掛けに訪れる程度だったが、「龍馬伝」の放送が始まった今年から、墓参者が増え出したという。

 女性住職の田中宏昌(こうしょう)さんは、「まったく予想外でした。3月の彼岸のときには、墓前までの道が狭いこともあって、順番待ちで墓参していただくまでになりました」と驚く。

 中には墓前で泣き崩れる女性もいるといい、今年に入ってのべ2000人が訪れた。

 何か記念をという墓参者のために寺では昨年、「千葉さな子 坂本龍馬室」と記した携帯ストラップを作成。当初は知り合いにプレゼントする程度だったが、ここにきて飛ぶように売れ、計400個の追加注文をした。