前回は「超氷河期」の就活事情の一端を紹介した。その過酷さに驚かれた方も多いのではないだろうか。
しかし、「100社にエントリーした」「10社から内定を得た」といった、数ばかりを競うようなネット上の書き込みを見ると、違和感を覚えてしまう。筆者(29)自身の就活体験との差が大きいからかもしれない。
筆者は平成17年4月に入社した。厚生労働省の調査では、同年3月に卒業した大学生の16年10月1日時点での就職内定率は61.3%。過去最低を記録した今春卒業予定者の57.6%と比べれば高いが、過去10年間で3番目に低かった。
楽天的な性格なのだろう、当時の筆者はそれでも「なんとかなるのでは」と考えていた。もともと新聞・出版業界に絞っていたため、企業の合同説明会とは無縁で、OB・OG訪問もしなかった。初めて最終面接にたどりついたのが産経新聞で、そのまま運良く内定を得られた。念願の職業に就けることが決まり、間もなく就活は中止。結局、エントリーした社は10社に満たず、実質的な就活期間は3カ月程だった。