電子書籍時代は来るか 端末・コンテンツ…市場まだ未成熟

2012.2.16 16:33

 電子書籍時代は本当に訪れるのか。市場規模は広がっているが、タイトル数はまだ少なく、電子書籍が生活に浸透しているとは現状では言い難い。1月27日に東京都内のイベントホールで開かれたセミナーでは、普及は進むが、本格的な浸透には電子書籍ゆえの独自性が必要という指摘が出席者から出された。

 「アメリカでは電子書籍専用端末が2千万台くらい売れている。日本はその段階にないが、今から3年後ぐらいに(電子書籍市場は)数百倍に成長する」。セミナーを主催したインプレスホールディングス取締役の北川雅洋さんは、そう説明した。

 日本での現在の売れ行きは「10万台よりかなり少ない」と推測。基本ソフト「Android」(アンドロイド)搭載スマートフォン(高機能携帯電話)の電子書籍購入者率は6%で、ほかの端末よりも少ないという。電子書籍が買えるネット上の書店は、Android搭載スマートフォン向けが多く、北川さんは「お客さんがいないところに、お店をオープンしている」と苦言を呈した。

 北川さんは、日本で電子書籍の普及が加速する条件に、(1)電子書籍専用端末が100万台を突破(2)タブレット端末(多機能情報端末)が500万台を突破(3)スマートフォンでの閲覧に向いた電子書籍コンテンツの増加-を挙げた。まだ市場が急速に拡大する時期ではないというわけだ。

 北川さんと、電子書籍事業に取り組むグーグル、ソニー、カルチュア・コンビニエンス・クラブの担当者3人による討論では、理想の電子書籍についても意見が交わされた。グーグルの佐藤陽一氏は「インターネットでの情報流通の特徴は再利用や共有が圧倒的な強み。(学術論文では関係する別の論文が参考文献として参照できるように)本同士が連携、本を読んだ人同士が連携する『共有、連携』の向上が大事だ」と指摘。ソニーの野村秀樹氏は「触らせたいものなら、触って楽しいもの、ビジュアルで見せたいものなら違う角度で見られるなど電子ならではのものが理想だ」と話した。(森本昌彦)