「躁状態」見逃さないで 鬱病と類似する双極性障害 (1/3ページ)

2012.4.15 18:20

 内閣府と警察庁によると、平成23年の自殺者は3万651人で、14年連続で3万人を超えた。自殺につながる可能性がある健康問題は、鬱病以外に「双極性障害」がある。躁鬱(そううつ)病の一つで、躁状態と鬱状態を繰り返す脳の病気だ。鬱病と間違われやすいが、遺伝的要因が大きく、治療法も異なる。躁状態を見逃さないことが適切な診断と治療を受ける鍵となる。(豊田真由美)

 双極性障害の「鬱」の症状は、気分の落ち込みなど鬱病の症状とほぼ同じ。

 一方、「躁」の症状は壮快感や誇大妄想などで、気分が著しく高揚し、自分が偉くなったように感じたり、「自分が正しい」と思い込んだりする。具体的な言動の例としては、非常に活動的で落ち着きがない▽口数が増え、早口でしゃべり続ける▽アイデアが次々と浮かぶ▽仕事や勉強をバリバリこなせる▽徹夜しても平気▽気が散りやすい▽怒りっぽい▽お金の使い方が荒くなる-などだ。

 こうした言動は人間関係・社会生活・経済活動に深刻な悪影響を及ぼし、離別や自己破産などにもつながりかねない。また、鬱に転じたときや、躁と鬱の症状が同時に現れたとき、自責の念や焦燥感から自殺に走る危険性が高まるとの指摘もある。