60歳以上の常用労働者の推移【拡大】
65歳までの希望者の雇用延長を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法の施行を4月に控え、労使が頭を悩ませている。
シニア世代の人件費確保に向けて、経営側があの手この手で原資を捻出しようと躍起になる一方、労組側は他の世代からシニア世代への賃金配分変更を警戒する。
安倍晋三首相は経団連など経済3団体のトップに賃金引き上げを求めたばかりだが、今春闘では、世代ごとの賃金体系が法改正によってどう影響を受けるかも、大きな焦点となりそうだ。
人件費が1.9兆円増
経団連側は「法改正は人件費増加につながる」と分析。平成28年の賃金総額は23年時から約1・9兆円(約2%)増加すると試算している。このため今春闘では、定期昇給に相当する「賃金カーブ維持分」を見直すなどして、シニア世代処遇のための原資を、他の世代から移動させ、人件費総額の増加抑制をはかる企業が増えそうだ。