せっけんを小箱に入れて手ぬぐいを持ち、ちょっと近くの銭湯へ-。昭和の日本の風物詩ともいえる銭湯(公衆浴場)。しかし、昭和40年代以降、家庭での浴室が普及したことから経営難に陥った銭湯の廃業が続く。そんな銭湯を盛り上げようと、各地で「銭湯文化」を守るための取り組みが進められている。(村島有紀)
銭湯隊で地域活性
全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全国浴場組合)によると、43年に全国で約1万7600軒あった公衆浴場は年々減少し、今年4月には約3200軒に。東京都台東区にあった樋口一葉ゆかりの銭湯「一葉泉」も9月末、廃業した。
消えゆく銭湯文化を維持しようと昨年末に結成されたのが、東京都足立区の「センジュ クロス ロード銭湯隊(せんとうたい)」だ。隊長は、足立区などで地域活性化のセミナーを開いたり整骨院などを経営したりする植村昭雄さん(46)。「デイサービスを利用する高齢者から銭湯に行きたいという要望が強かった。地域活性化の場であり、健康に良い銭湯をもっと広めたいと思った」