そばどころの長野県では晩秋に入ると各地で「新そば祭り」が開かれます。年2回あるそばの収穫期のうち、10月にとれる「秋そば」が味、香りともに高く、美味とされます。標高1900メートルの戸隠山のふもとで育まれる戸隠そば。今年は夏の暑さと雨不足で丈がなかなか伸びなかったものの、収穫量は多かったそうです。
その戸隠そばには独特の文化があります。一口くらいで食べられる大きさにまとめ、ざるに5~6束並べる「ぼっち」と呼ばれる盛り方です。まるで客を迎えているかのような優雅な趣です。「ぼっち」は方言で「小高く盛る」という意味だとか、「ひとりぼっちで食べる」の「ぼっち」が由来だなど諸説あります。
1ざる5~6束で盛るのは戸隠神社を構成する5社にちなんでいるといわれます。その戸隠神社は古くから修験者が多く、修行の一環としてそばを食べてきたことも文化の形成に一役買ったとされています。
そばといっても粉の割合、細さ、色、返しなど見た目も味も地域で異なります。そうした中でも「ぼっち盛り」は、古くからそばを客や修験者に提供してきた戸隠の「おもてなし精神」との結晶といえます。
<プロフィル>
おかもと・ゆき 長野県出身、信越放送からフリーへ。現在はシンポジウム、司会、講師など。
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